図書室から広がる平和教育 〜元新聞記者が伝える「文章を書くこと」の意味〜
戦争という重いテーマを通じて
この日のテーマは「戦争」。明治、大正、昭和と続いた戦争の歴史を振り返り、何百万もの尊い命が失われた事実に向き合います。そして小笠原氏は、現代のウクライナやガザ、アフリカの各地で起きている紛争にも目を向けさせます。時代や場所は違えど、人命が失われていく悲しみは変わらないのだと。
二人の教育者の物語
講座では、静岡師範(現・静岡大学教育学部)出身の二人の男性の話が語られました。一人は昭和19年に出征し、フィリピン沖で帰らぬ人となった岩ヶ谷治禄さん。もう一人は彼の親友で、戦後、中学校教師として人生を全うした秋山卓さん。対照的な運命を辿った二人の物語を通じて、戦争がもたらす深い悲しみと平和の尊さが、静かに、しかし確かに生徒たちの心に届いていきました。
新聞記者から語り部へ
長年、静岡新聞社で記者として活躍してきた小笠原氏。その豊富な経験を活かし、今度は語り部として若い世代に歴史を伝えようとしています。「文章を書くこと」は単なるスキルではなく、記憶を記録し、思いを伝え、人と人をつなぐ架け橋となる—そんなメッセージが込められているようでした。
新しい学びの場として
火曜日と水曜日の2日間にわたって開催されたこの特別講座は、図書室という親しみやすい空間で実施されました。多少の眠気と戦いながらも、生徒たちは真摯な態度で講座に参加。図書室が、単なる本を読む場所から、対話と学びが交差する新しい空間として機能し始めていることを実感させる光景でした。
平和について考え、文章を書くことの意味を探る—。静岡大成高校の図書室から始まったこの取り組みが、これからどのような実りをもたらすのか。連続講座を通じて、また新たな気づきと学びの機会が生まれることを期待しています。